« May 2012 | Main | December 2012 »

November 2012

2012.11.21

ジョセン族の所行

 未曾有の大震災に便乗する「ガレキ族」は、ガレキを遠方に輸送する際の巨額な運送料稼ぎで「経済の活性化」に貢献している。これが被災地の復興にはほぼ無関係であることは自明だ。ここで生じた金の流れが何処に向かい、何処に滞留しているのか、当然ながらマスコミはダンマリを決め込んでいる。
 同じ震災便乗族として「ジョセン族」がいる。11/20『東京新聞』のトップによれば、「福島 終わらぬ除染 線量が再び上昇」とある。大分以前もtweetしたけど、除染行為は一定区域内の線量を一時的に下げる効果があっても、恒久的な除染を実現するのは不可能であることは、すでにチェルノブイリで実証済みで、このことについての丁寧な報告を私は●●新書(忘れた)で読んだことがある。この本を読んだのは3.11より遙か前だったから、別に「原発再稼働反対」の立場で書かれたものではないところに重要な意味があるだろう。
 自分の机の上だけをどんなに綺麗に拭き上げていても、ちょっと放っておけばどこからともなく埃が吹き寄せてきて元の木阿弥。自然とそうなってしまうのだ。机が埃を吹き出すのではない。埃は周囲から吹き寄せてきて、周囲の状況と卓上とを平準化してしまう。これは自然の摂理。だから、卓上を永久に無埃状態にしておきたければ、机そのものを周囲から隔離して真空状態の空間に置かなければそれは達成できない。
 いわんや自然の風土は風雨に曝されてところかまわず土砂を巻き上げる。だから除染後の地域は自然から隔離されなければならないことになる。
 日本には、深山渓谷、里山、河川、牧場、田畑とあらゆる自然環境が豊かにそろっていて、相互に緊密な関係を維持している。そうであってこそ我が風土なのである。加えて天候は雨風雷雪の四変化。おまけに台風も来る。津波も地震も来たではないか。
 こんな自然環境を平準的に除染するとすれば、都市を含めて全ての地域を一様に一皮剥いてしまわなくては実現できない(削り取った土塊で巨大な人工の山が幾つ出来るのか私は知らない。それも完全密閉してね)。それも一気にである。時間を掛ければ、その間に雨も降り風も吹く。そしたら一度除染した地域も元の木阿弥。恒久的な除染などが理論的に不可能であることは誰でも解るだろう。しかもチェルノブイリがご丁寧にもこの事実を実証してしまったのである。
 それでもチェルノブイリがどうしたかといえば、「みんな逃げろ」と。これしかないんだけど、わが国では「ジョセン族」がおいしい獲物の山に蝟集しているのを許しているあいだに事態が絶望的な状況に突入しつつある。
 昔、中学校の掃除当番で、箒を振り回すだけで一向に有効な清掃活動を行なった経験がなかったかつての青少年諸君。「ソージなんてしたってムダ。意味ねージャン」とした認識の深遠なる真理をこそ、いまこそ力強く主張していただきたい。

| | Comments (3) | TrackBack (0)

« May 2012 | Main | December 2012 »