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September 2005

2005.09.18

古〜いオルガン

 今朝のYahooサイトに、奈良女子大のプレハブ倉庫で日本最古の国産グランドピアノが発見されたというニュースが出た。この件の詳細は、Yahoo他の情報にまかせるとして、僕はまたぞろ古〜い記憶をかき立てられたのだ(60年も前の記憶だ。そんなことを思い出すところまで年老いたんだから、我ながら驚く)。
 ピアノではなく、古いオルガンのことを思い出した。それも国産ではなく、おそらく舶来品だと思う(鍵盤楽器つながりだからカンベンしてよ)。 親父の田舎(島根県松江市本庄町)に疎開で帰って、土地の小学校に入ったわけだ(充分にいじめられた)。この学校には、ほんの半年ばかりしかいなかったんだけど、この時分のとぼしい記憶のうちの一つですね。なぜか今でもこれが鮮明に残っている。つまり、誰も近付かないような階段の陰に放置されているオルガンを見つけたのだ唐突に疎開していって、遊び相手は誰もいないし、一人ぽっちで校内のあちこちの隅っこを探訪していたのかもしれない。
 音楽室て使用していたオルガンは、いわゆるベビーオルガンで、これをプカプカと弾き慣らしながら、音楽の女先生が小学唱歌なんかを歌っていたのだろうと思うのだけど、ちょうどこの年に終戦が重なっているので、一体どんな歌を歌っていたのか皆目思い出さない。階段の陰に押し込まれていたオルガンの方は、これと比べれば遥かに立派な作りで、一見ピアノを思わせる黒塗りで大きかったが、ところどころ欠けるように剥げ落ちていたりして、かなり痛ましい状態だった。壊れていたんだろう。
 なぜこれがオルガンであることを知ったのかは、今では確信がないのだけど、僕の親父がやはりこの小学校を出身なので、彼の記憶にこれがオルガンであることが刷り込まれていたのではないかと思う。おそらく、私が親父にそれを聞きただしたのだと思う。彼も一応は都会に出て文化人の一翼を担う立場にまでいった人だから、まさかオルガンとピアノの区別がつかないということはないと思うけど、でも不思議なたたずまいのオルガンだったとは思う。
 これを廃棄するのならぜひ欲しいと、久しいあいだ思い続けていたものだ。そうこうしているうちに、やがて忘れ果てようとしていると、隠岐島の小学校から古いオルガンが発見されて、それがハモニカのように金属リードを鳴らす仕掛けではなくて、鹿革で作ったリードを鳴らす方式であると聞くと、あのオルガンは果たしてなんだったのだろうかとまた記憶がよみがえったりした。その後も何度かは、このオルガンのことを思い出す機会があったが、しかし結局はその無事も所在も確かめないままに今日におよぶ(60年!)。誰かの手に渡って無事に保管されていれば嬉しいのだけど、おそらくゲンノウかバワーショベルの爪先で打ち壊されて果てたと思うのが、十中八九は正解だろう。
 落剥の果て、女子大のプレハブ小屋にまで追い込まれ、からくも再び日の目を見た国産グランドピアノには感慨深いものがあるが、あのオルガンの方はもう影も形もないだろーなー。

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